「正直、この建物をあと何年残しておけるか分からないんだよね。」
春吉に建つレトロなビルの一室でオーナーから言われた一言です。
ちょうど独立起業のタイミングで事務所として利用できる場所を探していた私は、それであれば取り壊すことが決まるまでの期間でいいので空いているお部屋を貸していただけませんか?と思い切ってお願いしてみました。
結果、なんと快諾。
レトロなビルの一室を使って事務所とレンタルスペースを始めることにしました。
補足ですが、実際に取り壊しの計画が決まっているというわけではないようで、耐久性やニーズがどの程度あるか現時点では不透明な為、現時点で有効な運用ができていないという状態のようです。
その為、ビル内には募集をしていない空室が多数あり、今回事務所として貸していただいたのもそのうちの一室でした。
当初は純粋に事務所としての活用を考えていましたが、建物をよくよく見てみると、外観や共用部のパーツなど、古いビル特有のレトロな魅力にあふれていました。
貸していただくお部屋は元々住宅として使用されており、それなりに古く、生活感はありましたが、丁寧に使われていたのか決して汚いという感じではなく、少し手を入れれば面白い空間になりそうです。
個人的にこのレトロなビルの存続を希望する私は、自分だけが使うより、このレトロな魅力あふれる建物や部屋を不特定多数の人に使ってもらい、知ってもらうことで、建物の価値を見える化することができるのではないかと考え、事務所として使っていない時間をレンタルスペースとして貸し出すことにしました。
調べてみると意外に畳の部屋があるレンタルスペースは少なく、事務所として必要なスペースを靴を履いたまま利用できるコンクリート床にし、元々和室だった残りの半分の空間はそのまま畳敷きの和室として残すことにしました。
工事内容はそのほとんどが解体作業といっていいほど、シンプルなもので、事務所スペースの床と天井の解体、倉庫として使う浴室の浴槽とバランス窯を撤去し、あとは多少の補修を行いあっという間に工事は完了。
知り合いから譲っていただいた鏡やアラジンのストーブ、照明をセットし、2023年の10月に事務所&レンタルスペースとして ”#協立ビル302”は始動しました。
現在、レンタルスペースを始めてから半年が経ちます。
オフ会などの個人利用に加え、最近ではその雰囲気を活かした撮影やイベントでのスペース利用が少しずつ増えてきて、私が感じた建物の魅力を同じように魅力と感じてくれている人が少しずつ増えていることを実感しています。
ビル存続に向けて、この先も活用を続けていきます。
興味がある方は是非一度、このレトロな魅力あふれるビルに遊びに来てくださいね。
=info=
建物名:協立ビル#302
用途:事務所&レンタルスペース
面積:29.5㎡
築年数:昭和**年
住所:福岡県福岡市中央区春吉3丁目
レンタルスペース: